Ford Brake-Noise Testing

騒音を除去

MSC (Material Sciences Corporation) は、ミシガン州カントンに拠点を置く材料サプライヤーおよびエンジニアリングサービスプロバイダーで、主に軽量化、音響、コーティング金属分野で革新的なソリューションを提供しています。自動車から電化製品まで、幅広い業界と市場に製品とサービスを提供しています。

「自動車が良好な状態でブレーキが完全に機能している場合でも、ブレーキからきしみ音がすると、顧客はワランティによる保証を求めて車をディーラーに持ち込みます。」

チャールズエバンス氏、ブレーキテクニカルエキスパート、フォードモーターカンパニー

60年代のGT40ルマンチャンピオンの後継である、美しい流線形のスーパーカー・フォードGTが信号で止まると、ドライバーと通行人は、迫力のある低音のエンジン音を聞くことができます。その隣にきた、フォードギャラクシーバンの中では、親が子供たちに、「いい加減騒ぐのをやめない、これからUターンして家に帰るからな」などと言っています。これらの2つの車両は、車種としては両極端の範疇に属しますが、タイヤが4個ついている以外にも重要な共通点があります。どちらの場合も、信号待ちの間に聞こえるすべての音は、そのように聞こえるように正確に設計された音である点です:GTの迫力のあるエンジン音を楽しんだり、静かなバン車内で親子が会話することを可能にしています。 しかし、ブレーキ音はどの車種でも全く音がしないように設計されています。ブレーキは車両の重要な部品ですが、常に意識して使用するものではありません。ブレーキは、雨、みぞれ、雪、猛暑、極寒の状況下でも、静かに効果的に機能する事を期待されています。車は、小さなきしみ音も発することなく停止できる必要があります。 

MSCの気候制御が行える半無響試験チャンバーは、快適な室温を湿度の高い–15℃に変更したり、急ブレーキを連続して行い、ブレーキ温度を300℃に上げたりできます。このような試験を24時間連続で行えます。

フォードはMSCの試験ノウハウを活用しています。重要なデータの収集は必須項目になっているからです。異音をゼロにする場合、データとして出てくるすべての音に対処する必要があります。

チャールズエバンス氏、ブレーキテクニカルエキスパート、フォードモーターカンパニー

MSCは、フォードのようなOEM生産者と協力してブレーキの製造に使用される材料がターゲット市場の要件 (輸送用バンやファミリーワゴンの耐久性、または大型重量級トラックの制動力など) を満たすと同時に、車室内の全騒音レベルが1 dBたりとも増加しないように最大限の注意を払っています。

「MSCは、実際の環境条件を再現するように設計された様々な高性能設備を使用して、フォード向けのブレーキノイズ試験を実施しています。フォードが必要とするすべてのブレーキノイズデータを記録し、そのデータに基づいてフォードが適切な目標変更を行えるようにしています。
マット・マフィー氏、技術ソリューション担当副社長、MSC

主要な課題自動車は、考えられるほぼすべての環境で、個人および商業用に使用されており、自動車部品の材料にかかる応力は、環境条件によって大幅に異なっています。運転中に、温度+45〜-45℃および湿度0〜100%の範囲で、激しくまたは穏やかにブレーキをかけた場合、ブレーキコンポーネントに与える影響の度合いは、使用条件に大きく依存します。コンポーネント試験は、これらの環境条件全体を考慮に入れてテストする必要があります。フォードは自動車業界において長い実績を持っており、気象条件やブレーキノイズの問題が報告されている場所をトレースしているため、潜在的な問題が潜んでいる可能性のある場所を把握しています。これらの場所は、環境的に穏やかで安定した気候ではなく、温度と湿度が極端なレベルに達したり、急速に変化したりします。このような環境を再現する施設を使用することは簡単ではなく、また屋外テストとして実施しやすいものではないため、ほとんどの試験ベンチでシミュレートすることはほぼ不可能ではないにしても困難なのが現実です。 しかしMSCの試験施設では、そのようなことはありません。MSCでは、気候制御 (温度と湿度) が行える半無響試験環境の中で、四輪シャシーダイナモメーターの試験が行えます。24時間連続使用できる状態で、快適な室温を湿度の高い–15℃に変更したり、急ブレーキを連続して行い、ブレーキ温度を300℃に上げたりできます。このような試験を、最長2日間連続で行えます。この極端な環境で使用される測定機器は、環境の変化に耐えることができるだけでなく、プロセス全体にわたって正確で信頼性の高いデータを提供し続けることができなければなりません。この要求を満たすために、MSCはLINKダイナモメーターとブリュエル・ケアーの PULSE™LabShopソフトウェア および LAN-XIデータ収集モジュール を組み合わせて使用し、5〜6チャネルで4つの車輪すべてを同時に測定します。

試験プロセス試験プロセスを構成する一連の手順は、新型ブレーキシステムでも既存のブレーキシステムでも、多くの場合同じです。テスト車両はシャーシダイナモに固縛され、フォードのエンジニアが指定する様々な環境条件の下で、様々な速度とブレーキ条件を組み合わせた試験が繰り返されます。フォードはまた、試験車両とチャンバー内の状態と環境条件との相関関係を示す、測定データを提供します。この時点から、MSCとフォード間の緊密な協力を必要とする反復プロセスが始まります。MSCは常に、試験の様々な段階で2〜3台の車両を使用し、多様な組み合わせで、環境条件を変化させながら性能試験を実行します。この徹底した試験サイクルによって大量のデータが生成され、フォードはそのデータに基づいて調整を行います。その車両は翌日、新しいテスト条件を実施するために戻ってくるので、両者の緊密な連携が重要になります。そして、この試験・調整・再試験のサイクルは、理想的なレベルまで静かになったブレーキが完成するまで続きます。製品最終的には、製品が期待した通りに機能すると、全員が利益を得ます。エンドユーザーは、ブレーキパッドとディスクの間で何が行われているのかを意識することなく、車を安全かつ静かに停止できます。MSCとフォードは、それぞれの顧客を満足させ、その結果の恩恵を受けます。正確で質の高いデータに対する投資、および厳しい試験基準を順守するという決断は、そのコストに見合うだけの価値があります。 


フォードモーターカンパニーミシガン州ディアボーンを拠点とするフォードモーターカンパニーは、一般乗用車、トラック、SUV、電動車両などの設計、製造、販売、保守を行っており、全車種の改善と改良、新型車両の開発を常に行っています。このため、同社は機能性とノイズに関する厳しい水準を維持するために、新しい材料の検討や設計をたゆまず行っています。


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