振動試験の「やるべきこと、やってはいけないこと」

振動試験システムの配置、設置、操作において、見落としがちな落とし穴や問題点を回避するノウハウを連載します。本記事はその第一回目です

今回は、振動分野における Bruel & Kjær VTS の長年の経験を基にした部品やアセンブリの振動試験で発生し得る多くの問題について取り上げます。試験機材の配置を考える際には以下の項目について検討します:

  • 機材レイアウト
  • 試験場内環境
  • メンテナンス及び配線レイアウト
  • 電磁波影響

操作室のレイアウト

Position of control room

操作室の位置
操作室は、可能な限り振動試験システムを一望できる場所に配置する必要があります。これが不可能な場合は、試験システムを監視できるビデオカメラを設置してください。

試験室内へのアクセス
振動試験システムの設置と保守の両方に適切な作業スペースを確保し、搭載物(試験対象物)と固定具を簡単かつ安全に取り付けることができるようにする必要があります。

加振機の床に対する影響
振動試験を行う場合、特に低周波数の場合、試験中に床に伝わる振動を考慮する必要があります。振動伝播を防ぐために、さまざまなオプションを準備していますが、低周波数域には効果が期待できません。振動伝播防止対策が不十分な場合は、共振により加振機の過大振動を誘発したり、周囲施設を損傷したりするおそれがあります。

アンプの配置
パワーアンプ周辺は、冷却効率及び保守のため、壁に直接接触するような配置は避け、作業空間を確保してください。ユーザーマニュアルには、これに関する詳細な推奨事項が記載されています。

Airglideオプションについて
「Airglide」オプションを選択された場合、ユーザーマニュアルの指定通り、フロア表面の面粗度と水平度を出す必要があります。

冷却ファンのホース
冷却ファンのホースを延長する場合、Bruel & Kjær VTS のエンジニアリングチームにご相談ください。ホース延長により、加振機がオーバーヒートするおそれがあります。同じ理由から、ホースの急角度な設置を避ける必要があります。

床強度
振動試験システムと搭載物(含む固定治具)の重量及び発生する加振力に耐えられる床強度が必要です。振動試験システムはかなりの重量物です。 

主分電盤の位置
主分電盤は、アンプの近くのアクセス可能な位置に取り付ける必要があります。また、この配置に関しては、関連する各安全規制に準拠する必要があります。 

騒音
振動試験システムはその特性上、騒音が発生しますのでご注意ください。大規模なシステムになると、多くの場合、過大な騒音が発生します。防音装置や防音室などの使用については、慎重に検討する必要があります。なお、加振機単体の騒音レベルはユーザーマニュアルに記載されています。 

他装置への影響
振動試験システムを、他の重量設備の近傍に設置する場合は、振動伝播や電気的ノイズの問題が起きることがあります。


環境振動試験

Environmental vibration testing

温度と湿度
Bruel & Kjær VTS の振動試験システムの運用は、温度と湿度に関して規定範囲内でお願いします。詳細は関連のユーザーマニュアルに指定されています。 

高地での使用
加振機を高地で使用する場合、空気密度の低下によって冷却効率が影響を受ける可能性があります。この問題が予想される場合には、Bruel & Kjær VTSのエンジニアリングチームにお問い合わせください。 

クリーンな環境
振動試験システムは、湿気の多い環境や油の多い環境、汚れた環境、ほこりの多い環境で使用しないでください。汚れやほこりはアーマーチャ位置検知センサーの誤動作の原因になります。また、高湿気により結露が発生すると、加振機に腐食が発生し、電気的な短絡(ショート)につながるおそれがあります。加振機本体やその周辺にオイルが付着すると、表面が滑りやすくなり、作業環境的に危険な状態が生じます。試験環境においては、常に4S(整理、整頓、清掃、清潔)をお願いします。 

結露
加振機のアーマチュア温度と周辺湿度が結露限界を超える(例えば、サーマルチャンバー内での運転時)と、結露が発生します。これにより、フレームが腐食し、電気的短絡につながるおそれがあります。これらの問題を回避するには、下記の方法が有効です:

  • サーマルバリアの使用
  • Fアーマチュア/チャンバーインターフェース周囲にヒーターを設置
  • ファンから放出された暖かい空気をチャンバーの下側に吹き付ける

真空
高高度試験装置(減圧チャンバー)とともに加振機を使用すると、チャンバーはアーマチュアに負圧を与えます。空冷式振動試験システムでは、試験体支持能力は正圧供給に基づいているため、特別な制御が必要になります。水冷式振動試験システムでは、アーマチュアを負圧にするために小型真空ポンプが取り付けられています。ただし、これはチャンバーの真空ポンプに対して逆作用となります。ゆえに、通常はアーマチュアの真空ポンプの方が大きくなります。

熱膨張
サーマルチャンバーを使用する場合は、熱膨張とそれによる応力に注意する必要があります。これは、マルチベアリング支持の水平テーブルをチャンバー内で使用する場合には特に留意する必要があります。

マグネシウム部品の腐食
水平テーブル、垂直テーブル、およびその他の部品に使用されるマグネシウム合金は腐食の影響を受けやすいため、ユーザーマニュアルに記載されている振動試験システムの保守に関するアドバイスに従ってください。


振動試験システムのメンテナンスと配線レイアウト

Service and Calibrating

メンテナンスの利用
振動試験システムには、全メンテナンスサービス実施のための必要事項がございます。詳細は関連するユーザーマニュアルにてご確認をお願いします。

ケーブル配線
配線を行う際は、次の点に留意してください:

  • カタログ性能を維持するため、ケーブルは最長でもユーザーマニュアルで指定される長さでのご使用をお願いします。またケーブルの長さは可能な限り、短く抑える必要があります。不明な点は、Bruel & Kjær VTS のエンジニアリングチームにお問い合わせください。
  • ケーブル端に過度の負荷や張力をかけないように注意してください。
  • アーマチュアコイル並びにフィールドコイルの配線出口は、熱の蓄積を防止するために通気を確保してください。熱の蓄積は装置のパフォーマンスを低下させ、損傷を引き起こすおそれがあります。
  • ケーブルは、事故の危険を避けるために、安全かつきれいに配線してください
  • 電源ケーブルと信号ケーブルは、ノイズ干渉を避けるため、別々に配線する必要があります。
  • すべての信号ケーブルはシールドする必要があります。配線距離の長いアナログ信号には三軸ケーブルを使用する必要があります。

配線レイアウトの詳細については、関連するユーザーマニュアルを参照してください。


電磁場に対する現場設計

保護アースおよびRFIフィルタ用アース
可能な箇所に保護アースを取り付けて使用することを推奨します。RFIフィルタ用のアースは必ず使用してください。また、指定された正しい方法でのご使用をお願いします。アースの詳細については、該当するユーザーマニュアルを参照してください。

加振機の設置
加振機本体は鋼鉄製で、磁束を伝播します。加振機本体が、Bruel & Kjær VTS が支給した装置以外の大型鋼鉄部品に接続されている場合、磁束はこの部品に流れます。これにより、プレートの磁化、加振機内の磁束損失、または大きな残留磁場の問題が発生する可能性があります。

制御装置の設置
制御装置が加振機の近傍に設置されていると、残留磁場によって制御装置のモニタがゆがんでしまうおそれがあります。

低周波フィールドの影響
Brüel & Kjær VTSは、振動試験システムの実行中は危険領域に入らないことを推奨しています。特に埋め込み型の医療用機器を使用している人は厳守をお願いします、

安全な取り扱いおよび危険に関する詳細については、該当するユーザーマニュアルを参照してください。


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