Accelerometers by Brüel & Kjær

加振システムの予知保全

予測試験法は、加振システムの状態を把握し、予期せぬ故障を防止したり、メンテナンスの実施時期を推定するのに役立つように設計されています。

事後保全とは異なり、予測試験法は加振機に近い将来問題が発生する可能性があるかどうかを知るための貴重な識見を提供します。予知保全試験計画を導入することで、テストスケジュールがぎっしり詰まった中で保全計画を立て、計画外のダウンタイムや機器故障のリスクを低減することができます。そのためには、加振器のリファレンスプロットシリーズを保持することが重要です。また、これらのリファレンスプロットにより、多くのテストの中でどのテストが加振システムに最もストレスを与えているのかを確認することができます。 

すべての加振器で異なる特性プロットが得られます。加振システムの寿命が尽きるまで、同じ性能のリファレンスセットとコピーを保管し、お客様の使用条件下で加振器が最高の性能を発揮できるようにすることが重要です。最新のプロットを過去のものと照らし合わせながら見直すと、その違いが見えてくるし、それに加えてそれらの意味するところも見えてきます。

加振機の特性を記録する

加振システムの性能を検討する場合、様々な特性評価プロットを適切に作成するために、いくつかの見方で考える必要があります。

  • テストセットアップ:常に同じ機器のセットアップを使用してください。変化があれば、古いセットアップで同じテストを行い、かつ制御機器による違いがでないように注意して新しいセットアップで再度、同じテストを実行してください。 
    • 垂直方向で加振機の動作確認を行います
    • コールド状態から加振機の動作確認を行います。
    • 加振機のアーマチュアの中心近傍に3軸加速度センサを取り付けます
  • 振動プロファイル:加振機の全周波数帯域において,5mm peak-peakの一定変位と 2g の一定加速度正弦波掃引が交差する振動プロファイルをコントローラに設定します。1 オクターブ/分の掃引速度で正弦波掃引を行います。
  • 記録:ドライブ用電圧信号と制御用センサ方向を含む3軸センサの出力をすべて記録します。
    • ドライブ用電圧信号を確認しながら、制御用センサ位置で実行できる最高周波数を定義します。ドライブ用電圧信号が200Hzにおける公称レベルを超過していないことを確認します。
    • 先に定義した周波数範囲を通じて、変位、速度、加速度の20%で高レベル掃引を実行します。周波数範囲を通してプロットされた、ドライブ用電圧信号と制御用センサ方向を含む3軸センサにおける全ての高調波歪みを記録します。歪み解析にも同じ測定方法を使用します。

これらのプロットはファイルに保存し、振動試験システムの寿命が尽きるまで、適切な間隔で繰り返し行う必要があります。。この一連の試験間隔は、加振器の使用状況や実施可能な試験レベルにより決定される必要があります。ホッティンガー・ブリュエル・ケアー LDS は、指標として、この一連の試験を毎月または重大な高負荷テストが行われた後に行うことを推奨しています。

これらのプロットからいくつかのことを示してくれますが、アーマチュアとサスペンションの健全性については特に重要です。アーマチュアの問題は、コイルまたはフレーム内の故障を意味する可能性があります。これらのプロットの経時的な変化は、これらの部品が摩耗または古くなっていることを示します。しかしながら、必ずしも交換が必要、というわけではありません。 

プロットが変化しているという事実は、それらを監視し、場合によっては目視で検査する必要があることを示しています。変化の速さは、故障が迫っているかどうかを示しています。変化は最初はゆっくりと起こり、故障する直前に加速する傾向があります。 

加振機動作確認プロットで見出すべきものとは?

制御用センサプロット

プロットは平坦であることが理想的です。平坦でない場合は、制御系に問題を抱えている可能性を示しています。とはいえ、制御用センサプロットだけから判断できることはほとんどありません。

ドライブ用電圧信号プロット

この図は、レベル、形状、共振周波数の点で、前回の2g試験時のプロットと同じようになるはずです。

最も重要な情報は、ドライブ用電圧信号プロットで確認できる最初の固有振動数です。固有振動数の値は、経時的にプロットしておくと、変化がわかりやすくなります。通常、未使用のアーマーチャでは、初期に2〜5%の周波数低下があります。その後、アーマチュアの故障が始まるまでは、小変化はするものの安定状態になります。大きな変化を示し始めると、アーマチュアに故障が差し迫っていることを示している可能性があります。

ドライブ用電圧信号プロットの形状は以前と同じになるはずです。カーブに以前より「凸」「凹」が増えている場合は、不具合の兆候です。固有振動数の低下を伴う変化が大きい場合は、アーマチュアの故障が近いことを示しています。

基準レベルは以前と同じになるはずです。そうでない場合は、制御の問題か電磁コイルの不具合を示唆している可能性があります。

鉛直軸プロット

これは加振機のサスペンションが温度によって特性変化するため、最も解釈が難しいプロットです。これを解釈するには、鉛直軸のベースレベルを見て、以前とほぼ同じであることを確認する必要があります。 

ピークが発生した場合は、周波数とレベルを記録し、経時変化をみる必要があります。ホッティンガー・ブリュエル・ケアー LDSは、どの加振器でも4つのピークをプロットすることを推奨しています。通常は最も高いピークですが、周波数範囲に分散させ、低周波数では低いピークを取ることもあります。

大きな変化はサスペンションが摩耗していることを意味し、目視検査が必要です。

歪みプロット

これは鉛直軸プロットとは異なる測定ですが、同じような見方を行います。前回のプロットと比較し、カーブに対するベースレベルの形状を確認します。 

新しいプロットがこれと一致していることを確認するとともに、ピークが主にレベルだけでなく周波数も変化しているかどうかを確認します。ベースレベルの変化またはピークレベルの上昇は、アーマチュアまたはサスペンションに問題があることを示している可能性があります。他のプロットを参照して、問題を特定します。

その他の要因

その他の要因で、アーマチュアの故障に見えるような問題が発生することがあります。

  • 加速度ピックアップケーブル破損
  • 加速度センサ取付部、もしくはケーブル取付部のゆるみ
  • アーマチュア、インサート、ネジなど等の取付部ゆるみ。
  • センサ異常によるノイズ過多
  • 時間をかけたテスト手順と同様に、一貫性が最も重要で、できるだけ多くのことが同じ様に保たれるようにします

お客様のニーズに合致したメンテナンスプラン

ホッティンガー・ブリュエル・ケアーのサービス契約と予防保全計画は、お客様の設備が最適な能力で稼働しているという安心感をもたらします。これによりお客様は、他の重要な業務に集中することができます。すべてのプランには、重要部品の点検、テスト、検証または調整をカバーするサポートと年間サービスメンテナンスが含まれています。

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